導入医院さまの声
患者さんと支えあい、共に健康の喜びを分かち合いたい。
オカダデンタルオフィス 院長 岡田 淳 先生
新型コロナウイルスの影響で、ますます患者さんとの関係構築が重要な時代になってきたと思います。このような状況において、岡田先生は私たちが提供しているアプリ「myDental」を通じて患者さんからリアルな声を拾い上げながら患者さんとうまくコミュニケーションを取っていらっしゃる印象があるのですが、今回はそんな岡田先生から、これからの歯科医院と患者さんとの関係構築に関する考えや「myDental」を通じて取り組んでいきたいことなどを伺えればと思います。よろしくお願いします。
(聞き手:DentaLight 鎌倉・大井)
岡田先生:よろしくお願いします。

ー「患者さんからのリアルな声」ということでいうと、たとえば審美系の施術についてはビフォーアフターの結果の違いがわかりやすくて患者さんも評価しやすいと思うのですが、予防歯科に関してはいかがでしょうか。
岡田先生:それに関していうと、今回のコロナの件で気付かされたことがあるんです。今はメンテナンスの患者さんを全て断ってるんですけど、患者さんからは電話で「なるべく早くメンテナンスを受けたい」というお声をいただくことが多いんですよ。正直、メンテナンスって大切ではあるけれど緊急ではないから、今すぐにどうしてもやらなきゃいけないものでもないんですけど、患者さんにとっては「必要なもの」として認識していただいていたようで。
ーそれは嬉しいですね。
岡田先生:だから、コロナによって逆に患者さんのことをより理解できた良いきっかけになりました。そこまで僕たちのことを必要だと思ってくれているなんて思っていなかったので。そういう「健康」に対して僕らが伝えたい想いというか、「健康観」みたいなものが患者さんにしっかり伝わってたんだなというのを感じることができました。
予防歯科って審美歯科のように結果が明確にわかるものではないから、満足度って実感しにくいものだと思うのですが、コロナのおかげで僕らが提供している予防歯科に関してもちゃんと満足感を得ていただいているんだなと気付きました。

スタッフの評価は、本来、患者さんから
ー今回、ぜひお話を伺いたいと思った理由のひとつに、岡田先生が歯科医院では珍しく「NPS(=顧客の継続利用意向を知るための指標)」を計測されていると伺いました。そもそもどうして岡田先生はNPSに意識を向け始めたのか、教えていただけますか?
>NPSとは?
NPS®とは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。
今まで計測が難しかった「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化することで、企業の顧客との接点における顧客体験の評価・改善に生かされています。
(出典:https://www.nttcoms.com/service/nps/summary/)
岡田先生:実は僕もNPSについてはまだ詳しいわけではないのですが、会計士さんとよく歯科医院の経営について意見交換をする中で、「もっと患者さんの声を拾っていこう」という話が出ました。僕の中で以前から課題になっていたのが「人事評価制度」で、そこにNPSを活用できたらと考えたんです。
僕らがやっている仕事って、なかなか患者さん側から直接評価されることがないじゃないですか。だから、スタッフの努力や取り組みの評価って僕自身がやる必要があります。でも、僕もスタッフ全員の頑張りを全て見れているわけではないので、そうすると適正な評価も難しくなってしまって、僕が評価をすることでスタッフのモチベーションにも悪影響が出てしまうことがあるかもしれないという不安がありました。

ー岡田先生としては、できるだけ患者さんからの評価をダイレクトにスタッフに返してあげたいということでしょうか。
岡田先生:やっぱり働いていて一番嬉しいのって「自分がやった仕事で誰かが喜んでくれたとき」だと思うんです。そのために患者さんの声に直接耳を傾けようと思ったのがきっかけですね。
ただ、直接意見を聞くというのは、ネガティブな意見が寄せられた場合にスタッフのモチベーションを下げてしまうのではないかと思い、正直、顧客満足度調査みたいなことには踏み切れずにいたんですが、NPSなら、まずは単純な数字で評価が見える形なので、一歩目としてはありなのかなと思いました。
>患者さんの満足度調査に活用できる歯科医院専用の診察券アプリを詳しく知る
アプリ「myDental(マイデンタル)」を通じて、患者さんにアンケートを実施
ーNPSを計測することについて、スタッフの皆さんに話した時は最初どのような反応でしたか?
岡田先生:実はスタッフたちのほうから「もっと患者さんの声を聞きたい」という意見が出てきたんです。これは正直、驚いたのと、反面、嬉しかったですね。
それで、まずは、単純に「うちの医院を友人や家族にどのくらい勧めたいですか?」みたいなことを数字だけで回答するアンケートを「myDental(マイデンタル)」のアプリを通じて送ってみました。
実際に患者さんにアプリ経由で送ったNPSのアンケートとその結果の一部
結果は、意外と悪くない数字が出てきたんですよね。ただ、数字だけの結果なので、スタッフからは、「その数字が増えたとか減ったとかっていうことだけだと何を改善したら良いのかわからない」ということを言われたんですよね。
そこで、次は、自由記述で一言ぐらいのコメントを記入できるように変更しました。実際に得られたのは前向きな意見が多かったんです。
たとえば「オカダデンタルオフィスを誰かに勧めたいですか?」といった質問について最低評価の「0点」をつける患者さんもいるんですけど、その理由を読んでみると「周りの人に勧めることで自分の予約が取りにくくなってしまうのではないか」という非常にリアルな意見を書いてくださっていることもあって。これは数字だけを見てもわかりませんでした。
ーそれはたしかに数字だけ見てもわからないですね。患者さんからのコメントに対して、スタッフさんたちってどのような反応をされますか?
岡田先生:スタッフたちとはNPSに関するミーティングを月に1回やるんですけど、たとえば「待合室での待ち時間が長い」という患者さんからのコメントに対して「じゃあ雑誌をやめてタブレットにしませんか?」みたいな前向きな意見を出してくれることがあります。実際、タブレットは初期投資に費用がかかりますが、中長期的に見るとそのほうがコストが抑えられるんですよね。
ーとても良いですね!
岡田先生:いつもトップダウンになってしまうのもよくないと思うので、仕事はなるべく自分ごと化してほしいんですよね。だから患者さんからのコメントに対して自分たちなりに考察して意見を出してもらうようにしてます。
ただ、毎月アンケートを取ったところで、実際にその声に対してなんらかのアクションをしていかないと意味がないと思います。そこで、まずはいただいたご意見を全て公開して、オープンな場で一つ一つどのように対応していく予定なのか回答していこうかと考えています。それによって患者さんも、自分の声がどのように医院に届いているのかをわかってくれると思うので。
大井:とても良い取り組みですね。
岡田先生:うちからお願いした場合のアンケートって「医院をもっとよくするために協力して欲しい」という意味合いが強いんですが、例えば、Googleに書き込まれる内容って感情に任せた辛辣なコメントも含まれてしまうと思うんです。僕らにとって意味があるのってどちらかというと前者なので、だからこそ、アプリを通じて患者さんのNPSを測ったりコメントを書いていただいたりすることは、医院の成長に対して、患者さんも参加していただいている感覚です。
患者さんとの信頼関係こそが、医院の未来をつくる。
ーコロナやNPSがきっかけになって患者さんとの関係性がより見えてきた今、岡田先生の中で「これからも患者さんとはこういう接し方をしていきたい」ということはありますか?
岡田先生:今まで自分たちが患者さんに対して取り組んできたことが患者さんからきちんと評価をいただけていたことがわかったので、そこは今後もっとアップデートしていかなければならないと考えています。
そして、今の時期だからこそ患者さんに本音をいろいろと聞いていきたいですね。どういう医院を患者さんは求めているのか、ということをもっと知りたいです。今までって「うちの医院ってどうですか?」という聞き方をすることが多かったんですが、「うちの医院にどうあってほしいですか?」という将来に向けた意見を聞きたいというか。
実はNPSを測ったことで患者さんとの距離が縮まった感覚があって、今までって「医者と患者」という立場で接していたんですが、もっとオープンマインドで良いんじゃないかと思うようになりました。そういう意味では、NPSへの取り組みは実施して良かったと思います。
ー岡田先生は、患者さんからの声を経営に生かしていきたい、というような考えを昔から持たれていたのでしょうか?
岡田先生:僕の場合は、7~8年ほど経営してきて、その間にいろんな経験をして、あるとき冷静に立ち止まって考えたことがあるんです。「医院の成長って、患者数や売上などの数字的なところじゃないな」「誰の役に立っているのかを患者さんからのリアルな声を聞くことで実感したいな」と。
ーすばらしいですね。先生にとって患者さんってどのような存在なのか教えていただけますか?
岡田先生:僕は歯医者さんにとって一番良いことって「仕事がないこと」だと思ってるんです。世の中に病気が無いほうが良いじゃないですか。
でも患者さんがいることで僕らの生活が成り立っているわけで、そう考えると僕も患者さんを支えているけれど、僕も患者さんに支えてもらっていると思うんです。狭い地域の中でお互いに支え合ってる立場なんだろうなって。その結果として医院の成長にもつながっているので、患者さんってそういう存在なんだろうなと思いますし、これからも常にそういう支え合えるような関係性で居続けたいです。
