【イベントレポート】コロナ禍の今、必要なスタッフとともにつくる「チーム医療」の秘訣?
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2020.08.16

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【イベントレポート】コロナ禍の今、必要なスタッフとともにつくる「チーム医療」の秘訣?

今回、2020年7月27日(月)に開催された「スタッフとつくる「チーム医療」〜成功と失敗のケースをご紹介!〜」のセミナーの様子をお伝えします。

組織作りにおける悩みは、多くの歯科医院での共通の課題となっています。そこでDentaLightでは、医院が目指すビジョンを応援するために、チーム医療に取り組みたいと考えている皆様のお役に立てればと、今回のセミナーの開催に至りました。

【登壇者】
穴沢 有沙(株式会社Blanche代表 / 歯科衛生士)
友枝 亮(医療法人Love&Smile 友枝歯科・矯正歯科クリニック 総院長)

【モデレーター】
大井 憲太郎(DentaLight)

スタッフ目線、そして、研修講師として多くを見てきた穴沢有沙さんの考える成功の秘訣とは?

大井:
歯科医院経営において、院長先生だけでは現場のすべてを把握することが難しいのではないかと思います。そこで、患者さんとの信頼関係をつくっていくうえで、スタッフそれぞれの力を組み合わせていく「チーム力」について、ぜひ穴沢さんと友枝先生に話を伺いたいと思います。
穴沢さんは歯科衛生士として今なお現役でご活躍されていながら、マウスピース矯正の研修を通じて多くの歯科医院のチーム医療をサポートしてきた株式会社Blanche代表取締役も務めておられます。
また、友枝先生は医療法人Love&Smile 友枝歯科・矯正歯科クリニックの総院長を務めておられまして、福岡にて「おもてなしとアンチエイジング」を大切にされた2院の経営をされていますので、院長という目線からチーム医療についてお話を伺えればと思います。
さっそくですが、まずは穴沢さんからよろしくお願いします。

穴沢さん:
歯科衛生士の穴沢です。私は歯並びの矯正治療、インビザライン矯正の指導を行なっていますが、私自身も矯正治療をした経験があるので、自らの体験をもとに患者さんの大変さや気持ちを汲み取った治療をどう行うべきかということを、研修を通じてお伝えしています。
本題ですが、本日お伝えしたいことは3つあります。まず1つ目ですが、「そもそもチーム医療とはなにか」ということ。そして2つ目は「成功している組織に共通すること」、そして3つ目は「明日からできる○○」をテーマにお話ができればと思います。

それでは1つ目の「そもそもチーム医療とはなにか」ということですが、まずは「グループ」と「チーム」の違いから理解をしていただく必要があります。

歯科医院 組織

 

グループというのは、同じような性質・似たような性質を持っている集団のことを指します。たとえば「ファンクラブ」もグループに属すると考えられます。
一方でチームというのは、目的を達成するために集められた集団のことを指します。なにか目的があって、その目的に向かって一緒に頑張っていく、そんな集団のことです。そしてチームには、リーダーと呼ばれるポジションが必要になります。歯科医院でいうところの院長先生だったり理事長先生だったり、もしくは職種のなかでいえば主任が→かリーダーに該当します。
ここでのポイントですが、「グループが悪くてチームが良い」という話ではなく、それぞれの特性を理解した上で自らの経営について考えていただければと思います。

さて、チーム(医療)においては目的が大切だ、というお話をいたしましたが、これに関連して、「働きやすさだけを追求するのは良くない」ということについても触れておきます。これは今年7月に東洋経済オンラインに掲載された記事の内容ですが、働きやすさばかり重視してしまうと、成長意欲のあるスタッフが離職してしまう可能性が高まるそうです。
「働きやすさ」は大切ですが、それだけになってしまうと歪みが生まれるということです。

そして2つ目の「成功している組織に共通すること」についてですが、まず私がスタッフ目線で感じていることをお伝えします。成功している組織には「挨拶をする文化」「目を合わせて会話をする文化」が定着しています。また、学びの空気があることも特徴で、さらに重要なのがスタッフ間でディスカッションの時間、つまり前向きな議論が行われる時間があることです。
外部講師目線から感じていることは、成功している歯科医院は研修時の質問がとても多くいろんなことに興味を持って、患者さんのためにいろんなことを解決したいという前のめりな意欲を感じます。また、院長先生が自分にしかできない仕事に集中して、そのほかの仕事についてはスタッフを信頼して任せることができている点も成功している歯科医院の特徴です。
最後に経営者目線で感じることです。それは報連相があり、レスポンスが速く、学びの姿勢があり、時間を守る。当たり前に感じるかもしれませんが、実は多くないなと思います。と同時にしっかりされている歯科医院さんは成功されることが多いと感じます。そして「なぜ」を考える習慣がある組織もとても良いですね。たとえば、うまくいかなかったときに「なぜうまくいかなかったのか、どうすればうまくいくようになるのか」を考える習慣がある組織というのは、成功に向かって動けているなと感じます。

さて、ここまで成功する歯科医院に共通するしている点をお伝えしましたが、これらの背景にはやはり「目的」が存在しています。この「目的」というのは、歯科医院や企業の理念と一致します。
院長先生であれば、医院を立ち上げる時にきっと理念を掲げたと思います。ぜひ、なぜその目的・理念に落とし込んだのかということを、ひとつの「ストーリー」としてスタッフに語り続けていただきたいと思います。そして歯科医院にお勤めのスタッフの方々の場合は、自分が勤める医院の理念や目的を理解しているのか振り返っていただきたいと思います。

3つ目の「明日からできる○○」についてですが、まずスタッフのみなさんはなにかしらの指示を受けた時に「どうしてこの指示が出されたのか、どうして今なのか、どうして私なのか」というWHYを考えるようにしてみてください。
そして経営者側は、スタッフに指示を出す時に「どうやったら自主的に動いてくれるのか、どうしたらこちらの考えが伝わるのか」というHOWを考えるようにしてみてください。
双方向のコミュニケーションの中で、相手を認め合って、相手を信じていくことで、歯科医院経営にとって良い方向に向かっていけるのではないかと思います。

大井:
ありがとうございました。チーム医療に取り組むのであれば目的の共有が大事、ということですね。

院長として、苦難と苦労を経験してきた友枝亮先生が、絶対に守りたいポイントとは?

では次に、友枝先生よろしくお願いします。

友枝先生:
僕は7年前に福岡で友枝歯科・矯正歯科クリニック平尾を開業したのち、医療法人LOVE&SMILEを設立しました。そして経営が徐々にまわるようになってきて、1年前に友枝歯科・矯正歯科クリニック博多駅前を開院しました。現在は約20名のメンバーで組織を構成するまでに成長しました。
穴沢さんの話にも出てきたように、僕たちの医院にも「五感に訴える癒しとおもてなしを大切に、歯から始まる健康な生活と美容、アンチエイジングを考えたトータルな治療を行っていきます」という理念があります。また、診療方針については「愛、平和、尊敬、感謝、笑顔」の5つを大切にしています。ただ、歯科医院経営は理念や想いだけではうまくいかないので、そこには必ず数字での裏付けを行なっています。

さて、先ほど穴沢さんも「成功している歯科医院はディスカッションの時間をとることができている」という話をしてくださいましたが、僕も開業4年目の頃にあることに気付きました。それは、ミーティングをすると半分以上僕がしゃべってしまっているということです。そこで、スタッフ全員がアイデアを出す体制に変更して、司会もスタッフに任せるようにしました。同時に、なんとなくで把握していた医院の問題を数字で可視化して、それについてもミーティング時にみんなで話し合うようにしていきました。その積み重ねが功を奏して、売上も徐々に上がっていきました。

この経験から僕がお伝えしたいのは、まずは簡単にできることからで良いので、とにかくミーティングやディスカッションの時間はなるべく取っていただきたいということです。その時には、声の大きい人の意見に左右されないことも大切です。
ただ、ミーティングをすること自体が大切というよりは、やはり最重要なのは医院の理念をきっちりと決めてスタッフに伝え続けなければならないということなので、そこは忘れないようにしていただきたいです。

ここで一つ印象に残っている出来事を紹介させて欲しいのですが、口腔外バキュームの導入を決めた時に、僕はスタッフにも事前に意見を聞いて、設置式にするのか、可動式にするのか、相談していたんです。それをディーラーさんに伝えたら「ほかの医院では全部責任者であるトップが導入の判断をしているので、スタッフの意見なんか聞かないですよ」と言われたんですね。これが僕と他の医院の先生との違いなのか、と気付きました。

様々なメリット、デメリット。感染症の現状、機器の機能、工事の内容と内装の変更点、コスト、現在の医院の経営的な運営の状況・・・etc。

出来る限り洗い晒し話して、僕の見解を述べ、専門家であるメーカーさんの話も交えました。あとは、スタッフたちのミーティングの中で決めてもらいました。

結果、2つのクリニックは全く違う決断をしました。しかし、それでいいと思っています。納得して、気持ちよく、安全、安心して働くことが、皆の幸せと、患者様の幸せ、ひいてはクリニックの発展につながると考えたからです。

ところで、そのようにして「コミュニケーションの頻度を上げて」「理念と数字の両輪での経営」をしていった結果、徐々に売上は増えていくことになりましたが、その半分は既存の患者さんが占めていたことがわかってきました。となると次に考えなければならないのは「新患さんは大切だけれど、どれだけ既存の患者さんをファン化できるのかも大切なんじゃないか」ということでした。
そこからさらに様々な数字を見ながら戦略を立てて繰り返し検証していったわけですが、患者さんの管理方法やコミュニケーション方法についてアップデートしていかなければならないと考えるようになってきて、そこでDentaLightさんのジニーを導入することにしたんです。これによってとても助かっているのは、中断患者さんのリストアップができて、そこに対して自動メッセージが送れる機能でした。それ以外にもさまざまなデータを抽出することができるので、とても効率的で質の高い診療ができるようになりました。

僕からの話は以上ですが、やっぱり医院経営で成功したいのであれば、スタッフとのコミュニケーションには時間を割いて欲しいです。逆にスタッフのみなさんは、経営者の価値観や理念を理解して欲しいと思います。

鋭く、そして、生々しい質問が多く、非常に盛り上がりました

大井:
ありがとうございました。お二人に共通することとして「理念・目的をチーム内で共有する」という考えが挙げられると思います。ただ、これによって成果を出すためにはチームの土壌づくりも必要になってくると思うのですが、まずなにから始めればよいでしょうか。

穴沢さん:
院長先生からスタッフにメッセージを伝えてもなかなかうまくいかない場合は、第三者を呼んで話を聞かせるのも一定の効果があると思います。

友枝先生:
スタッフと一緒に居続けると、恋人のような家族のような関係になってきて、お互いに言うことを聞かないような状態になることもよくあるんです。そういう時に外部の方に来てもらって間を取り持ってもらうとうまくいくことがあるので、穴沢さんの言う通り第三者に入ってもらうのは僕も有効だと思います。

大井:
ありがとうございます。ここからはセミナーに参加していただいている方々からの質問に移りたいと思います。
まず友枝先生への質問です。
一番失敗したエピソードを教えていただけますか?

友枝先生:
一番しんどかったのは、スタッフ全員に辞められた時ですかね。当時は採用において理念を意識していなくて、友達のような相性のスタッフを採用していたんです。

大井:
続いての質問です。
医院の理念やビジョンをスタッフに浸透させるためのコツはありますか?

友枝先生:
僕の場合は、理念をまとめた冊子のようなものをつくって、その内容に関係したエピソードを朝礼の時に話してもらうようにしています。あとは、教育係のスタッフには1日1回でいいから理念に関係するフレーズを他のスタッフに対して意識的に言うようにお願いしています。

穴沢さん:
現場のスタッフって、どのような想いや価値観で先生が開業したのかをわかっていなくて、採用の募集要項で条件に合うところに入る方が多いと思います。ただ、その想いや価値観、これまでのエピソードなどを伝えることで、「みんなの力が必要なんだよ」ということを理解してもらって、共感と信頼を集めることができるようになると思います。

大井:
なるほど、エピソードを語ることが大切なんじゃないか、ということですね。
次の質問に移ります。
組織改革にあたって何から始めていいのか、また、主任やチーフの選定基準についても質問が来ています。

穴沢さん:
友枝先生がおっしゃっていたみたいに、外部の人を入れてみるのは良いと思います。その場合、もしも講習などを依頼するのであれば、必ず業務時間内に時間を確保するようにしてください。業務時間外に行うと、スタッフのモチベーションに悪影響が出る可能性があります。

友枝先生:
主任やチーフの選定基準については、スキルや経験も大切ですが、それ以上にやはり理念へどれだけ共感してくれているかが重要だと思います。スキルや経験を医院が目指す方向とは違う方向に使われても意味がありませんので。
それに関連して、スタッフの採用に関しては「オンリーワン」を目指さなければならないと考えています。「給料がいくらで」とか「休みはこのくらいあって」とか、そういう他と比較できる条件面ばかり発信していても、もっといいところはどんどん現れるので、顆頭競争になります。なので、この医院で働くことで、他の医院とはどう違うものが得られるのかといったオンリーワンの部分を発信し続けて採用活動を行うことが重要になりますし、それがすなわち理念への共感にもつながってくるのではないでしょうか。

個別相談&見学会も開催!

穴沢さんが経営する株式会社Blancheにて実施するスタッフ研修です。
インビザラインの基礎的内容からすぐに役立つ術式ノウハウまでマスターできます!
セミナーでお話しいただいた内容はもちろんのこと、充実したインビザライン治療を行うためにプロフェッショナルなスタッフを育成します。

>詳しいお問い合わせはこちらのHPより

 

友枝先生のクリニックの見学会も開催しています!
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