【2020年度版のIT導入補助金】歯科医院が活用するべきメリットとデメリットを解説!

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IT補助金 歯科

経済産業省系の補助金としてIT導入補助金(以下、IT補助金)があります。これはITツールを導入することにより中小企業や小規模事業者の経営力向上を支援する為に創設された補助金です。今回はIT補助金の変更点や歯科医院様が導入するにあたってのメリット、デメリットを解説してまいります。

2020年のIT補助金の概要と昨年までの違いについて

2020年版のIT補助金の変更点としては4点あります。

1点目は「コロナ特別枠」の創設です。2019年までは、A類型とB類型を一般型としていましたが、今回、特別枠としてC類型が加えられました。端的には特別枠を使うことで、一般型で1/2であった補助率を、最大3/4にすることができます。よって、まずはコロナ特別枠を活用できるか否かを確認してみてもよいでしょう。

出展元:IT導入補助金2020 https://www.it-hojo.jp/tokubetsuwaku

 

2点目は「通年採用」が可能となった点です。2019年までは定められた申請期間内に申請しなければなりませんでした。しかし、2020年は通年採用となったことから、年間を通じていつでも申請できるようになりました。しかし、年度内に補助事業の実施を完了させる必要があるために「最終的な申請受付期限(延長があった場合にはその期間も含む)」には注意が必要です。

3点目は「減点措置」の導入です。これは、過去3年以内に採択を受けた事業者に対しては減点措置が取られることになりました。目的として、補助金の恩恵をより多くの中小企業に浸透させたいとの国側の意向が反映されていると推察します。

4点目は「給与総支給額の増加」の導入です。これは、給与支給総額を年率1.5%以上増加させ、事業場内の最低賃金を地域に設定された最低賃金より30円以上の水準にすることが求められます。

この中でも最も大きな変更点はコロナ特例です。

2019年までは、PCやタブレットは補助事業のみで利用する備品とは言い難いために、IT導入補助金の補助対象外でした。しかし、特別枠では、補助対象期間のレンタルに限り、補助対象となります。具定例としてはデスクトップPCなどです。


※補助対象経費は、いずれの類型においてもソフトウェア費、導入関連費、C類型はハードウェアレンタル費も含まれます。

 

2020年IT導入補助金のスケジュール

執筆時点以降では以下のとおりとなります。

■ITツール(ソフトウェア・サービス等)の登録申請
2020年12月4日(金)17:00受付締め切り
※不備再申請及び変更申請については2020年12月11日(金)17:00に受付締め切り

■交付申請および事業実績報告

A・B類型 10次締め切り分 2020年12月18日(金)17時まで(予定)

交付決定日
2021年1月27日(水)(予定)

事業実施期間
交付決定日以降~2021年6月30日(水)

事業実績報告期間
交付決定日以降~2021年6月30日(水)17:00まで

C類型(特別枠)9次締め切り分 2020年12月18日(金)17時まで(予定)

交付決定日
2021年1月27日(水)(予定)

事業実施期間
交付決定日以降~2021年6月30日(水)

事業実績報告期間
交付決定日以降~2021年6月30日(水)17:00まで

※予算等の状況によっては日時が前後する場合があります

 

 2020年のIT導入補助金を歯科医院が利用するメリット

IT導入補助金の対象になるものは、日々のルーチンワークについてITツールを導入することで効率化できるものが対象となり得ます。一般的な職種よりもITを導入したテレワーク等の導入は馴染まないと言わざるを得ませんが、それ以外にも使用用途はあります。

クラウド化による患者や予約に関する情報管理の一元化

患者や予約情報を一元管理するクラウドシステム導入が一例です。紙管理となると検索する時間や記入ミスなどが生じたときに非常に手間がかかってしまいます。また、自宅や出張先など院外から情報を閲覧したい時も、どこからでも簡単にアクセスできます。患者さんへの連絡も、電話やハガキ、ノート管理といったことから脱却でき、システムから自動的に連絡や患者管理も簡単です。
医院の課題に対してITツールを導入することで業務効率化、経営の一助になります。

業務負担やコストの減少

紙などで管理した場合、紛失や記入ミスなどが発生しやすいです。紙自体の置き場所の保管コストや、ハガキなどの郵送費用なども発生します。また、数値の集計業務なども、手入力しているとミスや時間工数などがあります。そこでシステムによって、入力自体を自動化することで転記ミスなどの人的ミスが解消され、業務時間ひいては時間外労働の減少にも繋がります。

院内のコミュニケーションの促進

院内の連絡事項を紙ベースからIT化することで勤務形態の異なる(早番・遅番など)スタッフ同士でも少ない労力で連携が可能となります。一般的な職種より歯科医院の業務は患者様のセンシティブな情報をお預かりし、かつ、高い専門性と集中力が要求される職務です。また、少ない人員であればあるほど、書類管理に投入する労力は歯科医院全体から見ると大きくなり、IT化のメリットは多いと言えるでしょう。

予約情報の管理とミスの減少

紙運用の場合、問い合わせに対する応答に時間がかかってしまいます。反対にクラウドで管理でき、かつ、患者様が問い合わせるまでもスマホなどで確認できる体制まで構築できれば歯科医院と患者様双方にとって有益でしょう。そして、待ち時間の短縮にも繋がります。患者様とトラブルに発展するケースで上位に占めるのが待ち時間の長さです。ここが解消できれば副次的に歯科医院への満足度も高まるものと考えます。

紙運用の場合、人の目を介して予約を受けることとなる為に長期的には予約のバッティングが起こりやすいということです。反対に、クラウドなどのITツールを活用することで、人の目(クラウドであっても全く人の目でのチェックが不要とは言えませんが)のみでのチェックに比べて予約のバッティングを防止することが可能です。

特に、歯科医院へ受診される患者様は多くの場合忙しい時間をぬって来院される方も多く、予約のバッティングは致命傷(その後の信頼関係に疑問符が付く)となることがあります。
結論として、クラウドなどのITツール導入のメリットは歯科医院だけでなく、患者様も享受できるということです。

2020年のIT導入補助金を歯科医院が利用するデメリット

100%の支給ではなく、さらに準備も承認までも「時間」がかかる

コロナ禍により、オンラインでの公募が一般化しつつありますが、一定の煩雑さはやむを得ません。よって、院長をはじめ申請担当者には一定の負荷が生じます。
準備までの作業工数と、申請が降りるまでに時間がかかる一方で、100%通るわけではありません。

申請書類や事業計画を練り上げる必要がある

申請からアフターフォローまでIT導入支援事業者のサポートがあります。しかし、事前準備(例えば計画を練る)までは各々の歯科医院様の事情もあることから、医院内での意思決定が必要です。

事業実績報告を定期的に事務局へ報告する義務

言うまでもなく、実績報告なしで受け取れるのもおかしな話です。よって、当たり前といえば当たり前ですが、一定のフォーマットに従い実績を報告する必要があります。

ITツール導入後に初めて補助金が支給される

資金繰りが厳しい場合でも導入後に初めて補助金が支給されるということです。反対にその間、複数の選択肢があった場合に、吟味する時間はあるとも言えます。

IT導入補助金を利用する上での注意点

IT導入補助金は、実績報告から約1ヵ月で補助金確定通知が届きます。そこから更に約1か月後に補助金の入金があります。(審査状況や時期によってはトータルの期間が更に延びる場合もあります)また、審査は形式的な要件を全て満たしていたとしても必ず通るものではありません。よって、最終段階で審査に落ちる場合もあり得ます。また、審査に通らなければ見星をつけているツールも購入できない(審査に落ちる可能性もある)ため、身動きがとれないとの見方もできます。

最後に

IT導入補助金は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」として、クラウド化などのITツールの整備が進んでいない中小企業等が利用できる補助金制度です。冒頭でもご紹介したコロナ禍へ対応した特別枠も設けられており、該当する場合は利用することを検討してみてはいかがでしょうか。歯科医院は患者目線としては「選ぶ」傾向にあり、他院との差別化を図る意味でもIT導入補助金制度を活用し、歯科医院内のIT環境整備や業務効率化を図ってみましょう。

 

蓑田 真吾
社会保険労務士。1984年生まれ。大学卒業後、一般企業を経て都内の医療機関に就職。医師、看護師をはじめ、多職種の労務管理に従事しながら一念発起し、社会保険労務士の資格を取得。本業の傍ら、中学生野球指導において全国大会準優勝2回。
<他保有資格> 2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等

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