2021.02.02
法律・制度【2021年3月開始】歯科医院ではじまるオンライン資格確認とは?
マイナンバーカードで健康保険証の資格確認が可能になる「オンライン資格確認」が、いよいよ2021年3月から始まります。これに伴い、歯科医院でも受付で患者さんがマイナンバーカードを保険証代わりに使うという場面が増えてくることが予想されます。オンライン資格確認を導入することで、業務負担減が期待でき、財政補助としてカードリーダーの無償提供や費用補助もあります。オンライン資格確認とは何か、歯科医院と患者さんのメリット、開始までの手順についてご紹介します。
オンライン資格確認ってそもそもなに?
オンライン資格確認とは、主に「マイナンバーカード」によって、オンラインで保険資格情報を確認できることをいいます。現在は、受付で患者さんから保険証を預かり情報を入力をしているものが、今後は受付に設置した顔認証付きカードリーダーに患者さん自身にマイナンバーカードを置いて頂くことで、最新の保険資格情報を自動で医院のシステムに取り込めるようになります。
オンライン資格確認の受付での流れは、以下の通りです。
①患者さんに顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置いてもらう
②本人確認方法の選択
③カードリーダー搭載カメラによる自動顔認証or暗証番号入力orスタッフによる目視確認
④特定健診情報・薬剤情報の提供に同意するかを選択(患者さんの操作はここで終了)
⑤受付のPCに、患者氏名・住所・最新の有効な資格情報が自動で取り込まれる
⑥支払基金・国保中央会のオンライン資格確認等システムと常時接続しているため、患者が情報提供に同意した場合は、歯科医師等が特定健診情報・薬剤情報を閲覧できる
出典元:厚生労働省/MHLWchannel「オンライン資格確認 医療機関・薬局向け周知動画(導入後の業務と機能編)」より一部改変して作図
保険証によるオンライン資格確認も可能です。保険証の場合、受付で最小限の入力は必要ですが、オンライン資格確認を活用することで、資格が有効な場合は保険資格情報を取得することが可能です。
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オンライン資格確認の導入メリット
出典元:厚生労働省/健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります より一部改変して作図
1.資格過誤によるレセプト返戻の削減
患者さんの有効な保険資格がその場で確認できるため、有効期限切れ等の資格過誤によるレセプト返戻の減少が期待できます。また、レセプト返戻を受領した際に、レセプト請求時の資格情報が判明せず再申請できない、といった事態が減り、未収金を削減することもできます。
2.受付業務の負担減
今までは、スタッフが保険証を受け取り各種情報をシステムに入力するため、手間がかかり、入力ミスの可能性もありました。オンライン資格確認を導入することで、マイナンバーカードでは最新の有効な保険資格を自動的に医院のシステムに取り込むため、受付業務の削減・人的ミスを減らすことができます。また、スタッフがマイナンバーカードを直接受け取る必要がないので、コロナ禍において気になる接触を減らすことも可能です。
3.来院前の一括照会
患者さんの来院前でも、予約患者さんの保険資格が有効か、変更がないかを確認することができます。例えば、当日分の患者リストから資格情報を朝まとめて確認しておき、変更がある患者さんを事前に把握しておくことも可能です。
※事前に確認した保険資格が資格喪失等により無効である場合、患者さんが来院した際に資格確認を行う必要があります。
4.特定健診情報・薬剤情報の閲覧
患者さんから情報閲覧の同意を得られた場合、2021年3月から特定健診情報、2021年10月から薬剤情報について、有資格者等による閲覧ができるようになります。患者さんの様々な情報を得られることで、新患の場合やかかりつけ医以外を受診した場合でも、医院側は迅速に情報を収集でき、質の高い診療に役立てられます。また、患者さんも同じような質問票への回答を何度もせずに済みます。
※特定健診等情報の閲覧には、マイナンバーカードによるオンライン資格確認が必須です。
※有資格者等とは:薬剤情報は医師、歯科医師、薬剤師等が閲覧可能。特定健診情報は医師、歯科医師等が閲覧可能。「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」より、医療機関・薬局にて有資格者等の識別を行い、アクセス権限の管理を行うこととされています。
5.限度額適用認定証等の連携
窓口での支払いが高額な負担となった場合、今まで患者さんは加入している保険者へ限度額適用認定等の申請を行い、発行された各証を受診時に受付に提示する必要がありました。オンライン資格確認を活用すれば、患者さんから情報閲覧の同意を得られた場合、限度額情報を医院側で取得できるため、患者さんは限度額適用認定証等の申請・提示を逐一行う必要がなくなり、窓口で限度額を超えた費用を払う必要もなくなります。
※閲覧可能な情報:高齢受給者証 、限度額適用認定証 、限度額適用・ 標準負担額減額認定証、特定疾病療養受療証
オンライン資格確認をはじめるにあたって必要なこと
1.顔認証付きカードリーダー
診療所については、顔認証付きカードリーダーが1台無償提供されます。
顔認証付きカードリーダーとは、マイナンバーカードの IC チップから読み取った「顔写真データ」と、顔認証付きカードリーダー搭載のカメラで撮影した「顔写真」を照合して、本人確認を行うことができる機器です。撮影された顔写真データ等は保持されずに消去され、セキュリティに配慮された仕組みとなっています。
出典元:厚生労働省/健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります より一部改変して作図
※オンライン資格確認の導入には、カードリーダーの設置に加えて、PCの購入やレセコンの改修等が必要です。
2.財政補助
令和3年3月までに顔認証付きカードリーダーの申込を行った医療機関・薬局を対象に、構築に要した費用(オンライン資格確認に必要なPCやネット環境の整備、レセコン・電子カルテ等の既存システムの改修等)について、定額補助が行われます。診療所の場合は、基準とする事業額42.9万円を上限に実費補助となっており、補助上限までなら自己負担0円も可能です。
出典元:厚生労働省/健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります より一部改変して作図
3.手続きの流れ
オンライン資格確認導入までの手順は以下の通りです。まずは医療機関等向けポータルサイトでアカウント登録するところから始めましょう!
出典元:厚生労働省/健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります より一部改変して作図
実際の導入に役立つページ・資料のご紹介
■ 厚生労働省ホームページ ー オンライン資格確認の導入について
オンライン資格確認に関する各種資料、導入後のイメージがわかる動画が掲載されています。
■ 厚生労働省ホームページ ー マイナンバーカードの保険証利用についてお知らせ
患者さん向けの周知リーフレットがダウンロードできます。
■ オンライン資格確認・医療機関等向けポータルサイト
オンライン資格確認利用・補助申請はこのページから行います。運用マニュアルや患者さん向けのリーフレットもダウンロード可能です。
まとめ
オンライン資格確認は、近い将来、閲覧情報の拡大や電子処方箋の導入、生活保護受給者の医療券も対象にしていく予定が示されており、今後のデータヘルスの基盤となっていくものと思われます。導入は義務ではありませんが、歯科医院におけるメリットも大きいと思われます。歯科診療所における顔認証付きカードリーダーの申込状況は、2020年11月現在で14.4%(10,212/71,010施設)※です。質の高い医療提供のためにも、是非早いうちから導入してみてはいかがでしょうか?
※厚生労働省/オンライン資格確認等システムの進捗状況について より