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【イベントレポート】歯科医院の経営に欠かせない事務長の未来と期待とは?参加者からいただいた質問に五十嵐さんがお答え!

レポート

内覧会を運営する株式会社メディカルアドバンスと、歯科医院の経営管理や予約管理「ジニー」のDentaLightが行う共催セミナーです。
2020年9月23日に開催しました「歯科医院経営の右腕として「事務長」の役割とは?3医院の事務長の五十嵐伸好氏が質問にお答えします!」のセミナーの延長戦として、第二弾を開催。
前回、たくさんのご質問をいただきましたが、時間内でご回答できず、今回、第二弾を開催するにいたりました。
今回は、2020年11月25日に開催したオンラインセミナー「第二弾 歯科医院経営の右腕として事務長と役割とは?」も含め、セミナーの様子をお届けします。

【登壇者】
ライトアーム 代表 五十嵐伸好さん

【モデレーター】
株式会社メディカルアドバンス 代表取締役 本多隆子さん
株式会社DentaLight 大井憲太郎

医院の成長には事務長は不可欠

本多:
私は今までたくさんの医院を見てきたんですが、その経験の中で「事務長さんがいらっしゃる医院は成長しやすいのではないか」と考えるようになりました。そこで今回は、古くからの友人でもあるライトアームの五十嵐さんに、歯科医院における事務長の役割や存在価値について伺いたいと思います。

大井:
それでは私から、あらためて五十嵐さんについてご紹介させていただきます。五十嵐さんはもともとジーシーにいらっしゃって、そこでは歯科医院の開業支援をされていましたが、それだけではなく歯科医院の中に事務長としても参画された経験をお持ちでした。

その後ライトアームを起業されたわけですが、今回は起業の経緯や歯科医院運営のアドバイスなどについてもお話しを伺えればと考えています。よろしくお願いします。

五十嵐:
よろしくお願いします。

もともと私は株式会社ジーシーで機械担当に配属されて、仙台や新潟、東京、横浜と拠点を転々としていたのですが、機械担当の中で「開業チーム」をつくる話が出た時に、立ち上げメンバーとして加わりました。主に誘致の事業計画を作ったり内装の打ち合わせを一緒に行ったりと、不動産屋のような仕事が中心でしたが、そこで開業支援をさせていただいた歯科医院さんの成功や失敗を数多く見てきました。

その時に院内のマネジメントで困っていた先生がたいへん多かったことに気づいたんです。とはいえ、私の当時の仕事はあくまでジーシーの機械を販売することが目的であって、開業後の医院にはあまり関わることができないジレンマを抱えていました。

五十嵐:
そんな時、たしか2010年頃だったと思いますが、私自身を事務長として複数の医院さんにシェアしてもらう方法を考えていたところ、横浜の医療法人の理事長から正式に事務長として誘っていただくことになりまして、それがきっかけでジーシーを退職することになりました。

そこで実際に事務長としてマネジメント業務に関わる中で、大変なことももちろんありましたが、8年間で企業収入は5倍になり、スタッフの人数は50人くらいに増えて、順調に成長させることができました。ただ、文化ができていない中でのチームづくりが一番大変だったのですが、これは5〜6年くらいかかってようやく形になってきたように思います。この経験を生かして、現在は事務長候補の人材育成にも力を注いでいます。

「ライトアーム」という屋号をつけた理由としては、先生の右腕になれれば、そして正しいことを追求していければという想いを込めました。

 

歯科医院における、院長と事務長の業務の棲み分けとは?

大井:
ありがとうございます。では、さっそく寄せられた質問を紹介していければと思うのですが、まず事務長を採用するメリットと、院長と事務長の業務の棲み分けについて質問が届いてますね。

五十嵐:
事務長を採用する費用を現場のスタッフの採用と人件費に回した方がいいのではないかと考える方ももちろんいらっしゃると思うのですが、事務長とはそもそもスタッフではなくて、先生と同じビジョンを持って、先生と同じ目線・同じ立場で、先生ができないところを巻き取る存在です。

たとえば、私は先生が経営判断に迷った時に客観的に意見することはできるのですが、診療や治療はできません。なので、事務長は先生をはじめスタッフみなさんが歯科に専念できる環境をつくる役割を持っていると考えています。

その中でも、特に事務長に任せるべき業務は人事だと思います。歯科医院のスタッフは女性比率が高いのですが、そうすると結婚や出産などのライフイベントが突然発生する可能性があります。その時にどうマネジメントしていくのかを冷静に考えられる人材というのは、やはり必要なんです。

大井:
ありがとうございます。本多社長からもお答えいただけますか?

本多:
私は事務長不在の医院さんをよく見てきたんですけど、もしもそこに事務長さんがいらっしゃれば本当に心強いだろうなと思います。意外と人間関係が原因で辞めていくスタッフは多いので、なにか起きた時に冷静にマネジメントできる人が入ることで、そのリスクは少なくなると思います。

五十嵐:
たしかにそうですね。ただ、事務長が現場に出て行きすぎると関係がこじれることがあるので、そこは距離感を保ちながら関わることが大切だと思います。一番の問題は稼ぎ頭である院長先生が抱えすぎてしまうことなので、事務長としてはお母さんのような立場でクッションになってあげることが重要です。スタッフが院長に直接意見しに行く前に話を聞いてあげる立場になるというか。これだけでも、医院に事務長を置くのは価値があると思います。

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歯科医院で、事務長はどのタイミングで採用するのが良いのか?

大井:
事務業務はもちろんのこと、潤滑油となってメンタル面のケアも行っているということですね。では次の質問ですが、事務長はどのタイミングで雇うべきでしょうか?

五十嵐:
院長によるところが大きいです。正直、院長先生が天才的でカリスマ性があれば、事務長がいなくても経営をまわすことができるんです。でもそういう院長先生って稀なので、もしも自分一人では難しいなと思ったら、なるべく早いタイミングから事務長の雇用を検討されたほうが良いかと思います。

極端な例で言うと、開業時から大きなビジョンを描いていて、初めから事務長を入れる先生も実際にいました。今その医院のWEBサイトを見ると大きな医療法人に成長されているので、事務長というのはキーパーソンになり得るのかなと思います。

大井:
事務長さんの役割が最初から決められていたということでしょうか。

五十嵐:
開業時って、先生じゃなくてもできる仕事ってたくさんあるんですよ。変な話、開業に関わる一切の事務業務を誰かに任せて、先生自身は直前までどこかの医院に勤めることだってできます。これも事務長を入れるメリットの一つかもしれませんね。
とはいえ、事務長の人選に関しては、院内から選出するのが一番良いと思います。

大井:
院内からですか?

五十嵐:
院内のことをよく理解しているからです。衛生士さんでも受付のスタッフさんでも良いのですが、ポテンシャルを感じた方が院内にいれば、事務長になってもらうことも有効です。

もしも院内に候補がいなければ、プライベートの知人や仕事で関わりがある相手など院外にいる自分の身の回りの人たちに声をかけ続けると、そのうち良い人材が現れることがあります。これは事務長だけではなくドクターの採用にも使える方法ですね。

採用に何十万、何百万ってかかる時代に、この方法であればほとんどコストをかけずに良い人材に出会える可能性があります。

本多:
事務長を院内で育てるケースは、これからどんどん多くなっていくと思います。たとえば衛生士さんや助手さんって、ある程度まで経験を積むと壁が出てくるんですよ。この壁を越えられなくて辞める方は多いので、ここで別のポジションにぐっと引き抜くことは大切だと思います。

大井:
事務長を新たに雇った場合、物理的には週にどのくらいの稼働時間が必要でしょうか。

五十嵐:
事務長の仕事って多岐に渡るので、なくなることって無いんですよね。常にやるべきことがあります。WEBサイトのリニューアルもそうですし、新規集患の施策も打たなければならない。なので、自分の医院に今何が必要かを考えることがまずは大事だと思います。

採用する時の基準とは?能力or人格?

大井:
事務長は能力と人格のどちらを優先すべきでしょうか。

五十嵐:
人格ですね。人格が良い人って、それ自体が能力なんです。では「良い人格」ってなにかというと、素直なことです。頭が良い人よりも素直な人のほうがチーム作りには適しています。

大井:
院長、事務長、チーフではどのような線引きをしていますか?

五十嵐:
院長は経営者としての判断をする役割があって、これは他の人に任せることはできません。とはいえ歯科医としての仕事もあるので、そこを事務長がサポート役として関わって、マネジメントや人事部長の役割も担うことで組織が回るようになります。そして経営サイドが決定したことを、チーフが各部門のトップとしてスムーズに現場に伝達していくのが理想だと思います。

大井:
院長とスタッフの板挟みになっている事務長さんからも質問が届いています。

五十嵐:
あるあるですね。歯科はどうしても体育会系な文化が強いのですが、まずは「今はもう時代が違うんだ」ということを院長に強く言ったほうがいいです。

本多:
でも、最終的には事務長はやっぱり経営者側に立たなければならないですね。歯科医院って結局のところ院長の会社でもあるので。ただし、院長の方向性に疑問を抱くようであれば、そこは妥協せずに話し合うべきです。そこが折り合わなかったら退職するくらい本気で。

五十嵐:
そうですね。もちろん失敗もあると思いますが、「自分は」っていうスタンスは事務長なのであれば持つべきかなと思います。

 

スタッフを巻き込む上でのコツとは?

大井:
私自身も悩む時があるのですが、スタッフをどう巻き込んでいくのか、なにかアドバイスはありますか?

五十嵐:
完全にトップダウンで経営判断をいきなり押し付けるのではなくて、まずはみんなに相談していく段階を設けることは大切です。一緒に運営を考えていくというか。そこで出た意見を再び院長先生に戻すことで、現場の意見と院長の考えをすり合わせていくことができるのではないでしょうか。

大井:
事務長として、院長もしくはスタッフの方から感謝されたことはありますか?

本多:
いつもと違うメンバーが医院の中に入るのって、ものすごく良いことなんですよ。いつも同じメンバーだけでミーティングをしても馴れ合いが発生してしまうので、そこに事務長が加わることで空気が変わるんですよね。その結果、スタッフさんが自分の意見を言い出しやすくなることもあるので、そのような時にスタッフさんから喜んでいただくことはあります。

それでいうと、女性スタッフのモチベーションを上げるのって難しいんですが、逆にここがうまくいっている医院さんって右肩上がりで成長されています。これに関しては、夢を語っていくことが意外と有効なことがあるんですよね。何歳までになにをやりたいのか、って。そうすると、今が一番大切だって気付いてくれるようになるんですよね。

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「コップの水理論」から、歯科医院運営を考える

五十嵐:
医院運営全体へのアドバイスとしては、「コップの水理論」をご存知でしょうか。コップの中に水が半分入っている場合、ネガティブな人は「半分しかない」と考えますが、ポジティブな人は「まだ半分ある」と考えるんですよね。歯科医院に限った話ではないんですが、一つの事象を前にした時に、それをなるべくポジティブに捉えられるような空気づくりをするのも事務長の仕事かと思います。「半分しか入ってない」と思っている人の考え方を変えることができるのは、第三者的に医院に関わっている事務長ならではの役割なのかなと思います。

あとは、陰口ではなく「陰褒め」をすることも、ぜひ実践していただきたいです。褒められた側は嬉しくなりますし、褒めた側は価値が上がるので、組織の空気がよくなります。

大井:
ありがとうございます。本多社長からは、なにか伝えたいことはありますか?

本多:
今日いろいろ話を聞く中で、たしかに「陰褒め」って大切だなと思いました。医院って小さな組織なので、これは効果があると思います。あと、私も孤独ではあるけれど、先生も孤独なんだということ。先生のガス抜きをしてあげることができる存在はとても大きいと思いました。

今日はとても勉強になりました。ありがとうございました。

その他、数多くのご質問がありましたので、以下にまとめさせていただきます。

 

事務局の役割分担や適正人数について教えていただけますか?

五十嵐:
これは完全の医院の規模によります。院長の仕事は基本的に診療と経営における意思決定ですので、本来であればそれ以外の業務はやらなくても良いんです。ただ、他の業務をスタッフに預けっぱなしにするのは適切ではないので、そこをチェックする体制は整えるべきです。その上で、必要に応じた人数を各医院ごとに考えなければなりません。

院長の時給ってものすごく高いので、その1時間を使って院長自身が対応する必要がないのであれば、その業務は事務長などの他の方に依頼しても良いのではないでしょうか。

 

事務長の業務リストのようなものはありますか?

五十嵐:
これも先程の話と重複しますが、各医院ごとに事務長自身で業務リストを書き出していくと良いです。私も書き出したことがあるのですが、50〜60項目ほど出てきました。
その中でも特にミーティングのスケジュールを組むことが大切です。ミーティングってやらなくても経営は成り立つんですが、ミーティングを通して日々の出来事について情報共有をすることで、より組織が活性化するんです。

 

スタッフのモチベーションコントロールについて

本多:
たとえば、うちのスタッフの場合は承認欲求が強いんですよ。そういう人に対しては、上の人が「すごいね、えらいね」となるべく声をかけてあげるようにしています。

五十嵐:
それでいうと、院長も意外と承認欲求は強いんですよね。普段誰も褒めてくれないので。だから僕はそこを支えたいなっていう考えを持っていました。院長が気持ちよく仕事をしていると、スタッフも楽しく働くことができるので。

 

優秀な事務長の特徴とは?

五十嵐:
当たり前のことかもしれないんですが、嘘をつかなかったり、忘れっぽくなかったりする人はスタッフから支持を得やすいですね。やはり事務長は人格者であるべきで、誠実に日々の業務に取り組んでいる事務長は優秀だと思います。

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